BOSSの独り言3

Big Island & Argos Entertainment社長の独り言

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東京~君と出逢えた街~10

~KISSしよう~

「恋を教える・・・って・・・」

雨ざらしのお地蔵さんのように・・・
固まる裕二を見て遥夏がクスッと笑った。

そして、真剣な眼差しで、そして、艶っぽく囁いた。
「誰・か・を・愛・し・た・い・の」

「・・・・・・」
さっきまでの勢いをまるで失くして俯く裕二。

母親のような優しい声で・・・
「冗談よ」
と、遥夏が裕二の瞳を覗き込むように笑った。

引きつった笑顔で裕二も笑った。
が、明らかに動揺は読み取られてる。

もう一人の裕二が心の中で呟く・・・
冷静に!!冷静に!!
そうだ!!あの手紙、渡しちゃえ!!

そう・・・
遥夏を見つけたら渡そうと用意してた手紙。

何だか解らないけど・・・一目で好きになった事。
もっともっと・・・遥夏の事を知りたい事。
もっともっと・・・自分を知って欲しい事。
この東京で・・・生きる意味を捜してる事。
そして、この気持ちを伝えないと後悔しそうな事。

自宅の住所と電話番号と共に書かれた手紙。

何度も下書きをして・・・何度も清書した手紙。

「あの~これっ・・・」
ポケットから、手紙を出してテーブルの上に置いた。

「何?」

「急いでるようだったら、渡そうと思ってたんだ」

遥夏が、手紙に視線を落として読み始めた。

裕二は、ボーっと窓の外を眺める振りをして・・・
チラチラと・・・遥夏の様子を不安そうに窺っている。

「ありがとう・・・私達、似てるね・・・」
と、遥夏がポツリと呟いた。
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  1. 2008/02/01(金) 23:59:59|
  2. 東京~君と出逢えた街~

東京~君と出逢えた街~9

~時間よ止まれ~

スクランブル交差点が見下ろせる喫茶店。

レモンスカッシュとコーラ。
窓からの夏の陽射しに影を伸ばしている。

飲むタイミングが無く・・・氷が溶けてゆく。

原因は・・・裕二の長い必死の自己紹介。

少し呆れた顔の遥夏。
いや、諦めた顔の遥夏。
カラカラとストローでレモンスカッシュと戯れている。

そんな遥夏の退屈にも・・・
話を軽く流されてる事にも・・・
まるで気付かない裕二。

まるで始まらない言葉のキャッチボール。

必死で糸口を探し焦る裕二。

突然、遥夏が裕二の瞳の奥を射るように見つめ・・・

「ねぇ、裕二君、恋した事ある?」
ゆっくりと・・・だが強い意志のある音色で訊いた。

「はぃ?」
余りにも意表をつかれた・・・
裏返った間抜けな声で・・・
驚いたラッコのような瞳で・・・
訊き返してしまった。

心の中のもう一人の裕二が叫ぶ。

違うだろ!!この場面は!!
眉間にシワを寄せて、眼下の街に視線を落として・・・
過去を振り返る切ない声で・・・
「恋ねぇ・・・沢山したよ・・・でも・・・総て忘れたよ・・・
 それは、遥夏、君に出逢ったからなんだよ」
こうだろ、こう!!

「私の質問聞いてる?」

ハッと我に返る裕二をグッと見つめ・・・

「私、まだ、恋した事ないんだ」

「は、はぃ?」
遥夏の言葉に、またもやラッコ目で応戦する裕二。

「ねぇ、裕二君、私に恋を教えてくれる?」

「は、は、はぃ?」
  1. 2008/02/01(金) 23:59:58|
  2. 東京~君と出逢えた街~

東京~君と出逢えた街~8

~もう恋しか見えない~

遥夏が近づいてくる。

街のノイズが一瞬消えた。

裕二の鼓動だけが、ドクン・・・ドクン・・・と体中に響いてた。
いや、鼓膜の奥で大きな津波のように押し寄せていた。

「は~い」
いや・・・違う。

「ご無沙汰」
これも・・・違う。

「あれ?どっかで会ったっけ?」
もっと・・・違う。

う~ん・・・この場面では、何が一番自然なのか??

爆音の鼓動の中、裕二は自問自答していた・・・

答えは出ない・・・
母が言ってた言葉が過る・・・
「優柔不断は嫌われるわよ」

ど・ど・どうしよう・・・

「裕二君だよね」

ハッと我に返った瞬間、目の前に・・・
あの向日葵の笑顔が、思案顔の裕二の顔を覗き込んでいた。
それも・・・かなり怪訝な疑わしい顔で・・・

「な・な・何でしょうか?」
余りの突然の予期せぬ展開に・・・
思わずファルセット気味に・・・
うぅ・・・語尾が上がって疑問系になってしまった。

・・・・・・・・

気まずい空気と沈黙が渋谷の街のノイズを掻き消す。

やばい・・・この場を切り抜けなければ・・・

「は・は~い」
思わず・・・右手も上げてしまった・・・
怪しい異邦人のような作り笑顔まで添えてしまった・・・

万事休す。

「裕二君て面白いね」
クスッと笑みを添えて、遥夏の声が微妙な空気を破ってくれた。

裕二の耳に、体に、街のノイズがスッと戻ってきた。

・・・・・・

何かを言わなければ・・・
言葉が出てこない。
遥夏の笑顔に・・・
心ごと、魂ごと吸い込まれてゆく。

こんな感覚は初めてだ。

「捜してくれてたの?」
総てを見透かしたような遥夏の声が胸に刺さった。

「うん、ずっと、待ってたんだ」
自分でも驚くほど、素直な言葉が口をついた。
  1. 2008/02/01(金) 23:59:57|
  2. 東京~君と出逢えた街~

東京~君と出逢えた街~7

~夏のRevolution~

8月1日、日曜日。

13時50分。

渋谷スクランブル交差点。

あれから・・・一週間。

裕二の頭から、あの向日葵の笑顔と少し掠れた声が離れないでいた。
いや・・・気を許すと・・・
どこからともなく笑顔の残像と、あの声がリピートする。

気づけば・・・笑顔の輪郭を辿ってる自分がいた。

バイト先に嘘をついた。

「来週もオーディションが入っちゃって・・・」

バイト先の誰かに見られるかも知れない・・・
そして・・・遥夏が気づいてくれるかもしれない・・・

12時から・・・
もう・・・1時間と50分が経つ・・・
ずっとギターケースを背負って・・・
灼熱の太陽が照り返すアスファルトの上・・・
忠犬ハチ公のように・・・
じっと佇み、キョロキョロと人の流れに目を凝らしていた。

信号が変わり、人波が一気に動く度に・・・
ドキドキと高鳴る胸と、噴出す汗を必死に押さえ、
あの向日葵の笑顔を夢中で捜していた。

“やっぱ・・・ダメかなぁ・・・”

カラカラに渇いた唇から溜息が一つ零れた。

その瞬間・・・

駅へと流れてくる人波の中に・・・

あの笑顔が見えた。

心臓が破裂しそうに速いビートを刻み始めた。

「ゴクリっ!」と唾を飲み込み、拳を握り締めた。

“やった~~~~!!”
心の中でシャウトした。

そして、ポケットに忍ばせた手紙を確認した。

“急いでるって言ってたもんなぁ・・・”

“最悪、手紙だけでも渡せればいいや”

何も知らない遥夏は・・・
晴れ渡る夏の空をチラッと見上げ、
大きなバッグを担いで、いつものように人波の中を
渋谷駅を目指し歩いていた。

13時55分・・・

必然の再会に向かって、遥夏は歩いていた。
  1. 2008/02/01(金) 23:59:56|
  2. 東京~君と出逢えた街~

東京~君と出逢えた街~6

~スピーチバルーン~

「あの~・・・お茶でも飲みませんか?」

息も絶え絶えに、汗を滲ませた裕二が言い放った。

「????」

キョトンとした顔で、そして、徐々に訝しげな表情になる遥夏。

「あ・あ・あの~・・・別れたくないんです」

別れるも何も・・・
今さっき・・・出逢ったばかりなのに・・・
自分でも何を言ってるのか良く解らなくなってきた・・・
真っ白になる・・・パニックに陥る・・・
って・・・こう言う事なのかなぁ・・・

裕二は心の中で、妙に冷静に自問自答していた。

が・・・汗は止めどなく溢れ出る。

唇は・・・渇いて・・・カサカサ。

唾を飲み込むと・・・ゴクンっと音がする。
どうやら・・・喉もカラカラのようだ・・・

「喉、渇いてるんです。何か飲みませんか?」

思わず・・・裕二の切実な気持ちが言葉に乗移った。

ポカンと裕二を眺めてた遥夏が・・・クスッと微笑んだ。

そして、凛とした眼差しで
「からかってるんですか?」
と、少し怒ったような声色で言い放った。

「す・す・すいません・・・そんなつもりじゃ・・・」

遥夏が微笑んだ瞬間・・・
裕二は、肩の力が抜けていた・・・
が、予想もしなかった遥夏のキツイ言葉のパンチに・・・
一瞬・・・怯んで・・・よろけそうになった。

「うふふ・・・冗談よ。」

遥夏に向日葵の笑みが戻った。

「裕二君?って言ったよね。お誘いは嬉しいんだけど・・・
 今日は、この後、バイトがあるの。
 それに・・・初めての人に付いて行くほど、軽い女じゃないよ。
 ごめんなさい。じゃあ、私、急いでるんで。」

優しい微笑と毅然とした言葉のコントラスト。
遥夏の不思議な魅力は・・・ここなのかもしれない。

遥夏の言葉、いや、唇を見つめながら思っていた。
“そ、そうだよな、いきなりのナンパだよな、これじゃあ・・・”
“でも・・・俺の名前、覚えてたぞ・・・何故なんだ?”

ペコリと丁寧にお辞儀をして・・・
サッと振り向き、毅然と歩き出す遥夏。

「・・・・・」

呆然と立ち尽くす裕二。

汗が、額からポタポタと流れ落ちていた。
  1. 2008/02/01(金) 23:59:55|
  2. 東京~君と出逢えた街~

東京~君と出逢えた街~5

~何も言えなくて・・・夏~

遥夏の記憶には、両親の存在や面影はない。

15歳になった日に、お婆ちゃんから・・・
両親の事を色々と訊かされた。

ずっと訊きたくて・・・知りたくて・・・
ムズムズしてた気持ちが晴れたのと同時に・・・
何かやり切れない気持ちをいつも心の片隅に棲まわせるようになった。

「遥夏、この住所を尋ねたら、お父さんの消息は解るかも・・・」

お婆ちゃんから一通の手紙を渡された。

父が、蒸発した時、父の父・・・
すなわち、遥夏の祖父が、お婆ちゃんに宛てた手紙。

丁寧な文字で、父の所業を詫びている手紙。

住所は、旭川。

お婆ちゃんは、当時、二度だけ返事を出したと・・・
“娘も新しい人生を始めようとしています。
 今は、そっと見守っています。”

そして、一年後・・・
“娘にも新しい人生の伴侶が見つかったようです。
 もう・・・お気遣いなく・・・”

それっきり・・・両家は疎遠になってると。

そして、父は・・・
東京に出て行ったようだと・・・訊かされた。

高2の夏、お婆ちゃんに内緒で、手紙の住所を尋ねた。

そこに・・・父の存在や行方を知る扉は・・・
何も・・・残されていなかった。

その時、遥夏は、東京に行く事を心に決めた。
  1. 2008/01/31(木) 23:59:59|
  2. 東京~君と出逢えた街~

東京~君と出逢えた街~4

~君は天然色 ~

遥夏が、交差点を渡りきったところで・・・

遥夏が、振り向いた。

全力疾走で裕二が駆けて来る。

必死の形相で手を振る裕二をジッと見つめる遥夏。

困惑気味の遥夏の顔に・・・
思わず・・・クスッと微笑が零れ落ちた。

劇団仲間やバイト先での遥夏の印象は・・・
クールで落ち着いた人。

あまり周りと自分から進んで関係性を持たない人。

かと言って、嫌われるタイプでもない。

そう、年齢や見た目より、内面が大人・・・
誰もが・・・そんな風に感じている。

そして、自分をあまり語りたがらない・・・
どこか・・・ストイックで、謎めいた存在。

遥夏は、札幌で生まれた。

父は、職を転々としながら小さな劇団を主宰していた。
母は、喫茶店でアルバイトをしていた。
若い二人が出逢い、遥夏が生まれた。

父に、現実と言う沢山のハードルが立ち塞がった。

夢を諦めきれない父は・・・母娘を棄て蒸発した。

母は、自立していくために、夜の世界で働いた。

遥夏は、一旦、洞爺湖近くの母の実家に預けられた。

そう、お婆ちゃんに育てられた。

遥夏が3歳の時・・・
母は、この世を去った。

夜の世界で知り合った新しい恋。

自称、実業家の年上の彼氏。

母は、その彼の虚業の連帯保証人になっていた。

一生働いても返せそうもない借金。

母と、彼は・・・一緒にこの世を去った。

当時の新聞に小さく載った。

借金を苦にした無理心中。

二人は、正式な夫婦にはなっていなかった。
  1. 2008/01/31(木) 23:59:58|
  2. 東京~君と出逢えた街~
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プロフィール

BOSS@康記

Author:BOSS@康記
<池永康記>
山口県出身、12.7生、O型
バンドのベーシストとして上京。
バンドの夢破れ作詞家に転身。
松崎しげる、柳ジョージ、
世良公則、織田裕二、小野正利、
class、井上武英、MITSUO、
河内淳一、長与千種、等
10年間で、300曲余りを提供。
94年~アサヒスーパードライCM
プロデュースを切っ掛けに・・・
マルチプロデューサーに転身。
独自のプロデュースワークは・・・
唯一無二の変な手法との噂(笑)
近年、作詞家復活の兆し・・・
㈱Big Island
Argos Entertainment㈱
代表取締役らしい・・・(笑)


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