BOSSの独り言3

Big Island & Argos Entertainment社長の独り言

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《太陽の中の恋-1》

《太陽の中の恋》

1977年7月23日。

夏休みに入って最初の土曜日。
快晴。
午後一時過ぎ。

 僕と由紀夫は、海沿いの砂の浮いた灼けたアスファルトの道を力いっぱい・・・そう、
何かから逃れるように・・・いや、何かを振り払うように・・・思いっきり自転車を漕い
でいた。
 左手に広がる瀬戸内の海は、穏やかな凪。無数の小島がクッキリと点在し、その手前を
松山行きのフェリーボートが、紺碧の水面に白い波影を描いて、ゆっくりと進んで行く。   
 太陽は、僕と由紀夫に、そして・・・鮮やかな水彩画のような瀬戸内の風景に、容赦な
く照りつける。これから始まる自由な時間と、開放感に飛び込むように、僕達はペダルを
踏み続けた。肺一杯に吸い込む熱い潮の香りに、十五の夏を感じていた。
 去年までの夏とは、何かが違う。そう・・・何かが違う。四月から伸ばし始めた髪が、
潮風にサラサラとなびいている・・・そんな気がしていた。

 人口三万人弱。瀬戸内海で三番目に大きな島。唯一、ミカンが有名な特産品。他に、こ
れと言って誇れる観光地が在る訳でもない、過疎化へと突き進む島。
 その昔、ハワイやブラジルへと数多くの島民達が、夢に燃えて島を離れて行ったと聞く。
 他所の土地からの転入組の一家。即ち、親戚や我が一家の過去や家系を知る人の居ない
島。そんな僕にとっては、島の歴史もどこか他人事で、穏やかな四季折々の風情に満ちた
島の生活には、それなりに満足はしていた。
 けど・・・閉鎖的で、親族や近所の顔色を伺い、予定調和を美徳とし、馴れ合いを重ん
じる空気の嫌らしさに、正直・・・居心地の悪さと、説明のつかない苛立ちを感じ始めて
いた。心の片隅に、治りかけのムズ痒いカサブタを抱えている。そんな気分だった。

 昨夜、伸びかけの髪が、真っ赤になるまでオキシドールでブリーチした。イメージは、
ブロンド。そう、ロッド・スチュアートだった・・・けど・・・ただ髪を痛めつけただけ
のような出来栄え。右手で髪をかき上げる度、キシキシと軋み、パサパサと波打つ。
 周りが何と言おうと、早く世界のロックスター達のように格好良い長髪にしたい。先生
に注意されても、近所のオバサン達に睨まれても、このイカした髪を切るつもりはない。
 校則や一般常識なる約束事に基づいて、世の中の秩序が保たれてる事も良く解る。でも、
今しか出来ない事がある。いや、今やらなければ、永遠に出来ない事。それを我慢する事
はない。その理由も見つからない。いや、見つけたくもない。
 
 僕が興味を惹かれる大人達は皆、そんな決意にも似た輝きをどこか瞳の奥に宿している。
僕も、そんな大人になりたい。そう決めたんだ。その為には、古ぼけた慣習やルールを甘
んじて受け入れる事はない。僕の価値観を守り、貫けばいい。

「世間の顔色を伺って良い子で居るのは、もう御免だ!!」
「もう、子供じゃない!!」
「でも、まだ大人じゃない!!」
「好きなようにやるさ!!」
「後悔はしない!!」
「僕は目覚めるんだ!!」

 周りの人に迷惑を掛ける訳じゃない。まして、無意味に傷つけるつもりもない。僕は僕
の価値観の基準に基づいて、格好良い不良になりたいだけ。そう、格好良い大人になるプ
ロセスを自分なりに実践し、楽しみたいだけ。そして、何かを掴みたいだけ。
 決して、悪い人間になりたい訳じゃない。その自己改革の最初の一歩が、僕のこの髪の
色なんだ。革命の証なんだ。少しイメージと違ったけど・・・周りが何と言おうと、僕は
一歩、理想に近づいたんだ。憧れの未来に、踏み出したんだ。
 それだけで今は、満足なんだ。潮風にパサパサとなびく赤い髪。一段とキシキシと悲鳴
を上げてる・・・そんな気がした。
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  1. 2006/11/16(木) 23:58:37|
  2. さよならの青空

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プロフィール

BOSS@康記

Author:BOSS@康記
<池永康記>
山口県出身、12.7生、O型
バンドのベーシストとして上京。
バンドの夢破れ作詞家に転身。
松崎しげる、柳ジョージ、
世良公則、織田裕二、小野正利、
class、井上武英、MITSUO、
河内淳一、長与千種、等
10年間で、300曲余りを提供。
94年~アサヒスーパードライCM
プロデュースを切っ掛けに・・・
マルチプロデューサーに転身。
独自のプロデュースワークは・・・
唯一無二の変な手法との噂(笑)
近年、作詞家復活の兆し・・・
㈱Big Island
Argos Entertainment㈱
代表取締役らしい・・・(笑)


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